近年、環境や社会に配慮したサステナブルなファッションが注目されています。
SNSやネットの記事でもサステナブルという言葉を目にする機会が増えましたが、具体的にどういった意味を持つ言葉なのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、サステナブルという言葉の意味や話題のSDGsとの関連、エコやエシカルとの違いまでを分かりやすく説明します。
サステナブルファッションの実践方法やおすすめのブランドもあわせてご覧ください。
Contents
「サステナブル」や「サステナブルファッション」とは?
サステナブル(サスティナブル)の語源は、英語のsustainableという形容詞で、直訳では「持続可能な、維持できる」という意味です。
似た言葉にサステナビリティがありますが、こちらは名詞なので、「持続可能であること、持続可能性」という意味になります。
近年、サステナブルという言葉は「未来に渡って環境や社会を維持していける」という意味で使われ、サステナブルファッションという場合には、その過程にもスポットを当てて、「環境への負担や製造に関わる人々などを考慮したファッション」という意味で使われることが多いです。
「サステナブル」と「エコ」や「エシカル」は何が違うの?
環境やファッションに関連する記事やニュースでは、「サステナブル」と並んで、「エコ」や「エシカル」という言葉もよく使われていますよね。
これらの言葉にはどんな違いがあるのでしょうか?
①エコはどういう意味の言葉?
エコは生態学を意味するエコロジー(ecology)の略で、「環境に優しい、環境に配慮した」という意味で使われます。
ポイントは環境に重点を置いていることで、サステナブルという言葉が持つ「持続可能な」という意味は含まれていません。
最近では、環境と経済の関わりから、経済を意味するエコノミー(economy)の側面も含めてエコという言葉を用いるようになってきています。
②エシカルはどういう意味の言葉?
次にエシカル(ethical)ですが、こちらは「倫理的、道徳的」という意味の言葉になります。倫理というのは、人間の良心から生まれる良い悪いの判断基準のことで、多くの人が守ろうとする社会的な規範ともいえます。
ファッションで考えた場合、例として分かりやすいのは、化学肥料の使用を制限したオーガニックコットンです。
通常の農法で栽培されたコットンであっても、収穫後の残留農薬には大差がなく、着用時のトラブルは非常に少ないとされています。
それより深刻なのは農薬の散布による土壌汚染や健康被害で、オーガニックコットンは、生産に関わる人々や農場の近隣に暮らす人々の健康を守るという意味でエシカルな素材だと考えられます。
生産者に妥当な賃金を支払い労働環境を守るフェアトレードも、エシカルな取り組みのひとつとして広まってきています。
思いやりの気持ちから環境や社会に配慮した商品を選ぶ行動は、エシカル消費という名称で呼ばれています。
サステナブルの考えはどのようにして広まったの?
サステナブルという言葉が現在の意味合いで使われるようになったのは、20世紀の後半になってからのことです。
当時は世界中で工業化が進み、経済成長と人口の増加が促されました。しかし、こうした発展は良いことばかりではなく、環境汚染をはじめとする様々な弊害が、次第に目に見える形であらわれ始めます。
経済や環境の専門家たちは、早くから著書や報告を通して未来への危機を訴え、1986年に国連の報告で「持続可能な開発」という言葉が使われてからは、一般の人々にもサステナブルの概念が広がりました。
サステナブルとSDGsはどう関係しているの?
SDGs(エス・ディー・ジーズ)は、Sustainable Development Goals(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)の略で、日本語では「持続可能な開発目標」を意味します。
SDGsは、2030年までにさまざまな国際問題を解決するため、2015年に国連によって採択されました。
SDGsは、環境、社会、経済に関連する17のゴール(目標)で構成されています。
これらのゴールはさらに169のターゲットに分かれていて、具体的には、自然環境の管理、エネルギーの確保、持続可能な経済成長、ジェンダーの平等や女性への支援などの課題が含まれます。
SDGsの対象は地球に住むすべての人々です。
よって、問題をいかに「自分ごと」として捉えることができるかがポイントで、そのためには日常生活との関連づけや継続の仕方がカギとなります。
次のコーナーでは、サステナブルファッションを取り入れるおすすめの方法として、ファッションを通したSDGsの実践方法をご紹介します。
サステナブルファッションを取り入れるおすすめの方法は?
ここまで、サステナブルという言葉の意味や似た言葉との違い、SDGsとの関連などについて説明しました。
一枚の服が作られるまでには、原材料の調達、生地の生産、服の生産、販売、輸送など、複数の工程を辿り、売れ残った服は廃棄されます。
こうした過程の裏に潜むのは、化学肥料の土壌汚染や資源の大量消費といった環境問題や、生産者が安い賃金で不当に雇用される労働問題などで、取り組むべき課題は多岐に渡ります。
また、違う領域の問題同士が互いに影響を及ぼし合っていることも、問題の解決を難しくさせている要因です。
問題を解決するためには、自分が着ている服はどのように作られているのかという興味を持ち、現状を知ろうとする姿勢がとても大切です。
サステナブルは「持続可能な」という意味なので、どうしたら取り組みを続けていけるか、自分なりに考えてみるということも大事ですね。
そのとりかかりとして、まずは下記のような方法からはじめてみてはいかがでしょうか?
①まずはワンアイテムからチャレンジ!
出典:merci
「環境や社会のために何かしたいけれど、何から始めたらいいか分からない」と、モヤモヤした思いを抱えている方もいるかも知れません。
こうした方には、まず何か一着を取り入れてみるということをおすすめします。
一度に何から何まで揃える必要はありません。自分にできることから始めて、それを継続していくことが重要です。
サステナブルブランドで商品を探す過程では、その服のどんな点がサステナブルなのかをチェックしてみましょう。
ネットショッピングで購入できる商品は、商品説明にサステナブルな特徴が記されているはずです。
アイテムを一着買ってみると、次にどんなアクションを起こしたらいいのか、新たな気持ちが芽生えてくるかも知れません。
②手頃な価格のアイテムをデイリーユース
出典:PeopleTree
一般的にサステナブルな服を作るには費用がかかり、価格の高さから購入を躊躇してしまうという方も多いようです。
けれどもよく探してみると手頃な価格のアイテムも少なくはなく、オーガニックコットンのTシャツやキャミソールのように3,000円前後で手に入るアイテムも見つかります。
こうした日常使いのアイテムは、活用する機会が多いことで消耗が早く、一定の期間で買い替えることになると思いますが、次に買う際にもサステナブルなアイテムを選べば、環境や社会に優しい取り組みを継続していけるでしょう。
③プレゼントでSDGsに向き合うきっかけに
最後におすすめしたいのは、プレゼントとしてサステナブルな商品を選ぶという方法です。
ひとつ前でご紹介したオーガニックコットンのTシャツやキャミソールは、誰もが日常で使いやすいという点で、もらって喜ばれるアイテムのひとつです。
ペットボトルの再利用で作られた折りたたみ傘など、サステナブルな製法や素材で作られたファッション小物も、お祝いや記念のプレゼントに多く選ばれています。
メッセージカードに購入の経緯をエピソードとして添えれば、相手にもサステナブルな認識が広がり、SDGsについて考えるきっかけになるかも知れません。
通販で買える!サステナブルなおすすめブランド7選
下記にご紹介するのは、サステナブルファッションとしておすすめのブランドです。
いずれのブランドもネット通販をしているので、気に入った商品をすぐに購入することができます。
MERCI(メルシー)
人と環境に優しいサステナブルブランドとして、SNSを中心に話題になっているメルシー。
程よくトレンドを取り入れたシンプルカジュアルで、おしゃれに敏感な20代から30代を中心に人気があります。
開発の段階から最適な生産量を把握し、衣類の生産ロスを生み出さないよう徹底した取り組みを行っています。
ブランドの活動拠点は佐賀県の縫製工場。上質な服作りのため、高度な技術を用いた製造にこだわっています。
トップスが5,000円~20,000円とやや値が張りますが、丁寧な縫製や着心地の良さには定評があり、長く愛用できる服が見つかります。
Re:EDIT(リエディ)
リエディは、「ファッションから未来を変える。ともに地球の未来を創るために。」をコンセプトに、サステナブルな社会の実現を目指すファッション通販ブランドです。
テイストはトレンドをふんだんに取り入れた大人カジュアルで、30代~40代を中心に、幅広い世代に支持されています。
2,000円台~4,000円台のアイテムがメインで、お手頃価格のバッグやシューズも豊富。
サステナブルな取り組みについては、「美しい地球を守る」「人を輝かせる」「社会問題の解決」という3つの軸に沿って、海洋汚染の原因となる廃棄ペットボトルを使ったアイテムの展開や、予約販売や受注生産を通した廃棄ロスの削減を行っています。
UNIQLO(ユニクロ)
全国の駅ビルやショッピングモールに店舗を持つユニクロも、実はサステナビリティに力を入れるブランドのひとつ。
早い段階から社会課題の解決に向けて取り組み、これまでさまざまな活動を行ってきました。
SDGsのゴールに向けて行っている活動については、ダウンの服を回収してリサイクルする「RE.UNIQLO(リユニクロ)」がよく知られています。
ブランド開始当初から理念に掲げているLifeWear(ライフウェア)は、人種や性別を問わず全ての多様な人々を豊かにする服作りや、持続可能な世の中に向けたテーマの統合という点で、SDGsの包括性と一致しています。
ADAM ET ROPE'(アダムエロぺ)
1990年にスタートしたアダムエロぺは、世界中からセレクトしたインポートアイテムと旬のオリジナルアイテムを取り揃えたセレクトショップ。
洗練されたシンプルなスタイルをベースに、ベーシックアイテムから新鮮なアイテムまで、バラエティー豊かなラインナップで展開中。
環境に配慮した農法で公正な労働環境のもとに作られた「COTTON USA」のカーディガンは約12,000円、ペットボトル原料のリサイクルポリエステルを使ったパンツは約15,000円となっており、価格的に取り入れやすいサステナブルブランドとして人気です。
IT'S. international(イッツインターナショナル)
イッツインターナショナルは、大手アパレル会社のフランドルが展開するブランドです。
日本の伝統素材や技術を用いたアイテムの展開で、地域創世や地域活性でSDGsに貢献しています。
“袖を通したときの心地よさの先にある、ゆたかな暮らし”を目指すアイテム達は、肌触りや風合いを追求しながらデザインの細部にまでこだわり、シンプルな中に旬のエッセンスがキラリ。
ファッション雑誌のストーリィとコラボした大人女性向けのアイテムも大好評です。
2020年にデビューした話題のサステナブル&ジェンダーフリーECブランド、blue serge(ブルーサージ)のアイテムもこちらから購入できます。
SLURR(スラ―)
トレンドに敏感な20代~30代のミレニアル世代に向けて、日常をハッピーにするガーリースタイルを提案するスラ―。
運営会社は、アースミュージックアンドエコロジーで有名な株式会社ストライプインターナショナルです。
売り上げの一部を動物保護団体に寄付する「もふもふプロジェクト」や、環境と人に優しいオーガニックコットンを使用したオリジナルTシャツの展開など、「だれもが 誰かの力になる」をテーマに、サステナブルな服作りやイベントを行っています。
ブラウスは約5,000円、ショートパンツは約4,000円と価格はプチプラで、ふくよかな人のためのプラスサイズも満載。ブランドロゴにも使われている、くすみピンクを中心とした抜け感のある色調にレースやフリルのディテールを添えて、大人に似合う可愛いスタイルを叶えます。
People Tree(ピープルツリー)
ピープルツリーの誕生は1995年。早い段階から環境保護や発展途上国の支援に取り組み、フェアトレードの専門店として名の知れたブランドです。
取り扱っている商品は、オーガニックコットンを使用したレディースファッションやハンドメイドのアクセサリー、キッズ&ベビーアイテム、生活雑貨やインテリア用品、フェアトレードのチョコレートやオーガニック食品など多岐に渡り、プレゼントに喜ばれる手頃な商品も多数取り揃えています。
コットンやシルクを使った美しいウェディングドレスは、持続可能な商品を評価するソーシャルプロダクツ・アワード2017にも選ばれ、エシカルウェディングという新様式の結婚式で花嫁達に人気です。
「サステナブルとは?特徴とおすすめのサステナブルファッションブランド7選」のまとめ
サステナブルという言葉について解説し、価格が手頃で手に入れやすいサステナブルブランドをご紹介しました。
人が洋服を買うという一つの行動は、地球規模で考えた場合、とても小さいものに思えるかも知れません。
しかし、こうした個人が社会を作っているということは事実で、それぞれの継続した取り組みはやがて大きな力になります。
「持続可能な取り組み」というと難しく考えがちですが、まずはサステナブルなブランドの服を一枚取り入れてみるなど、できることから始めてみてはいかがでしょうか?
実際に行動を起こしてみると、それが環境・経済・社会のすべてに関わっていることが分かり、SDGsにおける他のゴールを達成するヒントも見えてくるかも知れません。